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少年バルテュスと子猫ミツの友情。詩人リルケが感銘深い序文を寄せた、20世紀最大の画家による最初の小さな本、幻の名著。

Editing by Design Studio Paperweight INC

2020.10.11

バルテュスの絵はあまり好みじゃないけれど、彼が画業に目覚めた少年の頃の、40枚の猫のデッサンを集めた素描画集『ミツ(Mitsou)』は好きだ。絵本仕立てになったそれは、東洋に強い憧れを持っていた少年(おそらくバルテュス本人だろう)が、旅先で出会った猫を家に連れて帰り、日本名「ミツ(光)」と名付け、やがて失うまでの日々が綴ってある。

言葉による説明が一切無く、素朴な絵だけで構成されている。ミツは少年と散歩をし、一緒に眠り、食卓で飛び跳ねて悪戯ばかりする。いつも傍にいたのに、あるクリスマスの日、少年が熱を出して寝込んでいる間にいなくなったミツ。そして、とうとう戻って来なかった。いなくなった猫を懸命に探しても見つからず、少年が泣きはらしたままで本は終わる。

猫は去る。飼い猫の生命はぼくよりも短いのは当然だとしてもある日突然別れが来る。可愛がっていた野良猫達もある日突然消えてしまった。

早熟な天才バルテュスの素描画集『ミツ(Mitsou)』は1921年に出版され、当時彼の母親バラディヌ・クロソウスカの恋人であった詩人リルケが序文を執筆した。猫についての考察が面白い。

「猫たちはただ単に猫たちなのであり、そして彼らの世界は端から端まで猫の世界なのだ」

 

「いつなんどきも猫は少年と共にいた」。そのぬくもりとちょっとしたせつなさがすべての絵から
ほとばしる。“猫の王様”バルテュスによる、少年と仔猫のものがたり。

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