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独創的な幻想が綾なすファンタジックな世界『雨月物語』。

Editing by Design Studio Paperweight INC

2021.06.10

上田秋成によって江戸時代後期に著わされた読本作品。
日本・中国の古典から脱化した怪異小説9篇から成る。

「雨は霽れ月がは朦朧の夜、窓下に編成して、以て梓氏に畀ふ。題して雨月物語と云ふ」

6月27日は歌人で国学者であった上田秋成の『秋成忌』です。
梅雨の薄暗い黄昏時に秋成の『雨月物語』を読むと、その幻想的な世界観が更に味わい深いものになります。

この作品は、江戸時代中頃に書かれた九篇からなる怪異物語集です。上皇、軍学者、若妻、関白等歴史上の著名人から、無名の人々、蛇等が激しい情念と頑なな一途さ故に復讐や愛欲の虜になり、幽霊や鬼に変貌する姿や欲に狂った人間の末路を極めて冷静に描いています。故溝口健二監督が『雨月物語』を映画化していますが、その映像美もしっとりとした梅雨に良く似合います。

「…昔、快庵禅師が富田の里を訪れたとき、荒れ寺に鬼が住むという話を聞きました。寺の僧侶は、美少年を愛していましたが、少年が病気で死んでも、愛するあまりその遺体を食べてしまい、ついに鬼となったのでした。快庵禅師は、鬼となった僧にに青頭巾をかぶせ、漢詩の言葉を与え意味が分かるまで唱えるように言いました。快庵禅師が一年後に訪れると、青頭巾の僧はまだ詩句を唱えているましたから、禅師はその頭を杖で打つと、僧は消えて青頭巾と骨だけが残りました…」

『雨月物語』の七不思議「青頭巾」で知られる栃木県栃木市太平山大中寺の参道には、鮮やかな紫陽花が連なっています。雨の日の薄闇に浮かぶそれは、現実のものとは思えない程美しい姿をしています。『雨月物語』を読んだ後、ぜひ訪ねてみてください。

 

『雨月物語』を読む・観る

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