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“母の愛からは逃れられない”―車椅子の娘に向けられた毒母の狂気が暴⾛する。『search/サーチ』の監督&製作陣が新たに描くサイコ・スリラー『RUN/ラン』。

Editing by Design Studio Paperweight INC

2021.06.10

『search/サーチ』のアニーシュ・チャガンティ監督&製作チームが新たに描くサイコ・スリラー。母親の歪んだ愛が狂気に変わるとき、明らかになる恐ろしい真実とはー

観客に手に汗握るひとときを提供するスリラーは、意外性に富んだプロットのひねり、サスペンスフルな見せ場が醍醐味のジャンルであり、映画史上において斬新なアイデアや技巧がいくつも編み出されてきた。
とりわけ2018年の『search/サーチ』が実践した映像表現のスタイルは画期的で、世界中の映画ファンを驚愕させた。謎の失踪を遂げた娘を捜索する父親の苦闘を描いたこの作品は、ストーリー全編をパソコンのモニター上で展開させ、まったく新しい予測不能の映画体験を創造してみせたのだ。

そんな『search/サーチ』の成功によって一躍、新世代スリラーの旗手となったアニーシュ・チャガンティ監督が、同じ製作チームと組んで完成させた長編第2作が『RUN/ラン』である。この最新作を待ちわびていたファンは、物語のベーシックな状況設定からして意表を突かれるに違いない。
今回の主人公であるクロエという少女は、謎解きの手がかりを求めてSNSや動画サイトなどに絶え間なくアクセスしていた『search/サーチ』の主人公とは真逆で、インターネットに一切接続できない環境に囚われているのだ! コロナ禍のアメリカではHuluで配信リリースされた本作は、最初の週末に同サービスにおける視聴者数の最高記録を更新した。

「アメホラ」のサラ・ポールソン×驚異の新人女優キーラ・アレン
迫真の演技合戦と技巧を凝らしたサスペンス演出で、
ジャンル映画の王道をゆく醍醐味を追求した映像世界

全編にわたってひと組の母娘が濃密な心理戦を展開する『RUN/ラン』は、あらゆる観客の背筋を凍りつかせずにおかないサイコ・スリラーである。クロエの視点に感情移入して本作と向き合うであろう観る者は、人生のすべてを娘に捧げた“完璧な母親”ダイアンの不可解な振る舞いに不安を感じ、彼女の歪んだ母性愛が狂気へと変貌していく様をまざまざと目撃することになる。

ダイアンに扮するのは「アメリカン・ホラー・ストーリー」でエミー賞に5度ノミネートされたサラ・ポールソン。2021年のゴールデングローブ賞でも「ラチェッド」(Netfilx)の主演でノミネートされている。近年のスリラー界で圧倒的な存在感を放つ実力派女優が、インパクト絶大の豹変&顔面演技で毒母モンスターの常軌を逸した暴走を体現している。

また本作は、チャガンティ監督がスリラーの原点に回帰した意欲作でもある。最も身近で頼れる存在であるはずの母親に囚われた少女が、孤立無援の極限サバイバルを繰り広げるストーリーは、まさにこのジャンルの王道。しかも身体的なハンデを負ったクロエは、とっさの機転や科学的な知識をフル稼働させ、密室からの脱出に挑まなくてはならない。
勇敢にして賢いクロエ役に抜擢されたのは、プライベートでも車椅子を使用している新人女優キーラ・アレン。劇中で車椅子を巧みに操作し、時には床や屋根の上を這いずり回るアレンの熱演が、このサイコロジカルなスリラーにフィジカルな迫真性をも吹き込んでいる。

さらに、緻密に設計されたカメラワークとシャープな編集のテクニック、緑や赤の色彩を印象的に配したディテールなどによって、まさしく息もつまる緊迫のシークエンスを連打するチャガンティ監督の演出も秀逸だ。とめどもなくエスカレートする母親の狂気と、いかなる苦難にも屈しない娘の生きる意志がスパークする映像世界は、怒濤のクライマックスとその先の戦慄のラストカットまで一瞬たりとも目が離せない。

STORY

ある郊外の⼀軒家で暮らすクロエ(キーラ・アレン)は、⽣まれつき慢性の病気を患い、⾞椅⼦⽣活を余儀なくされている。しかし常に前向きで好奇⼼旺盛な彼⼥は、地元の⼤学への進学を望み、⾃⽴しようとしていた。

そんなある⽇、クロエは⾃分の体調や⾷事を管理し、進学の夢も後押ししてくれている⺟親ダイアン(サラ・ポールソン)に不信感をを抱き始める。ダイアンが新しい薬と称して差し出す緑⾊のカプセル。クロエの懸命な調査により、それは決して⼈間が服⽤してはならない薬だったのだ。なぜ最愛の娘に嘘をつき、危険な薬を飲ませるのか。そこには恐ろしい真実が隠されていた。
ついにクロエは⺟親の隔離から逃げようとするが、その⾏く⼿には想像を絶する試練と新たな衝撃の真実が待ち受けていた……。

 

2021年6月18日(金)全国ロードショー

『RUN/ラン』(配給=キノフィルムズ)

監督・脚本:アニーシュ・チャガンティ
製作・脚本:セヴ・オハニアン
出演:サラ・ポールソン キーラ・アレン
2020年 / アメリカ / 英語 / 90分 / 5.1ch / カラー / スコープ / 原題:RUN / G / 字幕翻訳:高山舞子
配給・宣伝:キノフィルムズ / 提供:木下グループ

 

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